皆様、こんにちは。谷です。
お久しぶりの翻訳シリーズです!
さて、今回はA.ランゲ&ゾーネの設立者フェルディナンド・アドルフ・ランゲについての第30弾をご案内します。
(当シリーズはラインハルト・マイス氏が語った内容の資料をもとにお伝えしています。)
アドルフランゲの出生や学生生活などについてはそれぞれの章をご覧ください。
①ランゲの生みの親『アドルフ・ランゲ』の生い立ちと幼少期
②ランゲ少年、時計師への道のり
③ランゲ青年、時計製造国フランスに行く
④‐㉖旅の手帳の中身とは?(Page4-Page65まで)
㉗~諸外国を回った後のランゲの人生
再び父が開発した機構を説明を始めるリヒャルト・ランゲ
リューズを回すことで、針は次のように設定できます。蓋つきの懐中時計の場合、正面のカバーを開け、オープンフェイスの場合はバックカバーを開く必要があります。
カバーが閉じると、元の状態に戻ります。
移動制限のかかった機構では、ロックピースが押し下がった際にスロット付きの小さなポビット「o」は省略され、代わりにロックピース「d」の底部に切り込まれた歯「e」に置き換えられます。
この歯は、ロック時に中間ホイール「m」の歯と直接噛み合います。しかし、歯が互いにぶつかる可能性を避けるため、父は通常のジャンパー(跳ぶ)ぜんまいをP型のフリクション(摩擦)ぜんまいに換え、ロックピースが手の圧力で中間ホイールmに押し当てられる代わりに、ばねrの弱い圧力によって保持されます。
このようにして歯の先端は完全に噛み合う前のみ接触します。
したがって側面の損傷に繋がらない様にしています。
すでに前回のブログでご紹介しましたように巻線システム自体およびパーツやコンポ―ネントは特許を取得しています。
私はこれ以上によく考えられ、これほどしっかりと確実に構成された巻き上げシステムはないと断言できます。
ランゲが特許を取った主ゼンマイ入り香箱の取り外し
独立したブリッジを備えたスイスキャリバーの利点として、ムーブメントを分解せずに香箱を取り外せることがよく強調されてきました。これはゼンマイを巻き上げたり、緩めたりすることがある事を考えると大きな利点です。
また、走っている列車には何の問題もないにも関わらず、テンプが弱く揺れがある事に気付く人もいるかもしれません。
時計のパワー不足は香箱(バレル)内の摩擦によるものであり、適切に調節をする必要があります。
さらに、汚れやほこりを取り除く洗浄のためにムーブメントを分解せずに新しいゼンマイなどを取りつけるだけで済むことは修理担当者にとって香箱(バレル)を簡単に早く取り外しができることは非常に重要なことでした。
取り外し可能な軸受けSが付いた4分の3プレート。
香箱を取り外す際に、プレート全体を取り外す必要がない。ネジTを取りはずし、溝Vから角穴車を取り出すことが出来ます。
私の父はこれまですべての問題を解決することを考えてきました。
スイスのレピンキャリバーに、上の図に見られる非常にシンプルな配置で4分の3プレートをムーブメントに組み込みました。
大きなラチェットホイールを取り外したあと、軸受けを固定している2本のネジを4回転させるだけで、香箱と軸受けを一緒に取り出すことが出来ます。
このようにして、私たちの時計の4分の3プレートにより、ムーブメントの中でよく指摘される欠点は完全に解消することが出来たのです。
アドルフ・ランゲは1875年3月23日に米国にて4分3プレートを承認番号:161244の特許で取得しました。
まとめ
いかがでしたか?
4分の3プレートが誕生した理由は、時計の使用者、時計の修理者の事を考えてうみだされたと思うとすごいですよね。
ここでは、4分の3プレートが出来た時のお話にはなりますが、開発まではおおよそ20年かけています。
どのようにして4分の3プレートになったのか?については下のURLからご覧くださいませ。
A.ランゲ&ゾーネブティック大阪心斎橋では皆様のご来店を楽しみにお待ちしております!