皆様、こんにちは。谷です。
ゴールデンウィーク3日目。明日の月曜日はお仕事の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、ゴールデンウィークにお仕事されている方お疲れ様です。
少しでもこのブログが時計好きの皆様のひと時の楽しみとなれば嬉しいです。
さて、今回はA.ランゲ&ゾーネの設立者フェルディナンド・アドルフ・ランゲについての第12弾をご案内します。
(当シリーズはラインハルト・マイス氏が語った内容の資料をもとにお伝えしています。)
アドルフランゲの出生や学生生活などについてはそれぞれの章をご覧ください。
①ランゲの生みの親『アドルフ・ランゲ』の生い立ちと幼少期
②ランゲ少年、時計師への道のり
③ランゲ青年、時計製造国フランスに行く
④‐⑧旅の手帳の中身とは?(Page4-Page27まで)
あらすじ
1815年2月18日に、ドレスデンにてアドルフ・ランゲは生まれる。
両親が離婚した後、ランゲ少年は知り合いの商家に引き取られて育ちます。育ての親のおかげで、ドレスデン技術学校に通わせたもらった彼はハイレベルな時計への知識を身に着けます。
1830年からは学生をしながらグートケスの弟子として実践トレーニングを積み、1835年、彼は当時時計大国であるフランスに旅をします。
旅に出る前に師匠グートケスにもらった手帳には、メッセージがかかれており「祖国を忘れることなかれ」から始まるメッセージがあります。現在も手帳は本社にて保管され、時計製作の際には必ず目を通しているようです。
では、『旅の手帳』に書かれていた事とは?今回は28-31ぺージの内容を記載していきます。
Page28-31の内容
Page29:単純(簡単)なコマンドエスケープメント(コンマ脱進機)について、ウルバン・ヤーゲンセンの本からランゲが転写することがおそらく出来ました。
これらのコンマ脱進機の絵を自由に使えるように彼が旅の手帳に書き写した可能性があります。
ここに描かれているモデルはジョン・アーノルドの戻り止め脱進機です。1782年5月にNo.1328として英国特許が下りました。6つの軸を持つがんぎ車はランゲによって模写されました。また、主な4つの流れについても図が描かれています。
ランゲはアーノルドが発明したらせん状ヒゲゼンマイの「ターミナルカーブ」もコピーしていました。
ジョン・アーノルドについて
英国の有名な時計店。彼が発明した戻り止め脱進機には、後に彼の名前が付けられました。
らせん状ヒゲゼンマイ「ターミナルカーブ」は1775年に補助テンプとして発明されました。
彼は、18世紀後半にスプリング・デテント式脱進機を発明し、これまでと比較すれば非常に単純な構造で精度が出るようになりましたが、トーマス・アーンショウとジョン・アーノルドのどちらが先に発明したのかが当時問題となり今でも判明していません。
Page31:アーノルドの戻り止め脱進機の段階を示しています。
右下には螺旋状のヒゲゼンマイをアーノルドのターミナルカーブと共にみることが出来ます。
その下には補助テンプOーZがあり、重さが変化するバイメタルアームがあります。
ランゲは初期の書物から学びました。
初期の書物について
1805年、ロンドンでジョン・アーノルドによって書かれた「explanation of Time-Keepers…」という本
左側に描かれているのは、ベルトゥーのすのこ型振り子です。
調節ナットが付いたナイフ型のつるしにつるされています。彼が持つ時計(壁掛け時計)と共通点があります。
フェルディナンド・ベルトゥー
1727年‐1807年、スイス国ヌーシャテル州にうまれる。1747年からパリにて、時計メーカーや時間測定装置を作る会社に勤務。ブリットクロノグラフや戻り止め脱進機を発明。1764年には、方法論百科全書を書くように指名されました。
その他にも王室および海軍付き機械時計師の座に就き、とりわけマリン・クロノメーターの分野で卓越した規模の作品を残しています。
1807年には、フランス時計、レジオンドヌール勲章シュヴァリエの称号を授与されました。
ベルトゥーの精密なすのこ型振り子は、1秒間に2回連打します。
数学上の長さは248.5mm。5本のスチール製の棒(白い箇所)と4本の真鍮製の棒(ドットの箇所)。
上部にはナイフ型の吊るし(X)。(M)は振り子の重心にある調節ナット。振り子の6時位置についているのは、ホイエンスカーソルの種類の1つで、RRの重さによって調節する。
まとめ
いかがでしたか?
Page29のコマンドエスケープメントの動きはランゲが予測して書いたとはとても驚きですね!
ランゲがジョンアーノルドやベルトゥーなど当時の時計業界を担っていた方の知識を本を通じて学んでると思うと、とても面白いですね。更にそれが1989年に残っていると思うと、本を通じて100年以上受け継がれており、本から学ぶ素晴らしさを感じたような気がします。
ベルトゥーが時計技師として、時計の基礎からハイコンプリケーションと言われる複雑なものまで、解明し解説していたのはとても興味深いですね。
是非、皆様も時計の魅力を感じにA.ランゲ&ゾーネブティック大阪心斎橋にお越しくださいませ。
皆様のご来店をスタッフ一同お待ちいたしております。