皆様、こんにちは。谷です。
卒業式シーズンですね。袴姿の学生さんの姿や卒業証書を手にした方をよく見かけます。
学生時代の思い出は一生の思い出ですね！

今回はA.ランゲ＆ゾーネの設立者フェルディナンド・アドルフ・ランゲについての第6弾をご案内します。
（当シリーズはラインハルト・マイス氏が語った内容の資料をもとにお伝えしています。）
アドルフランゲの出生や学生生活などについてはそれぞれの章をご覧ください。

①ランゲの生みの親『アドルフ・ランゲ』の生い立ちと幼少期
②ランゲ少年、時計師への道のり
③ランゲ青年、時計製造国フランスに行く
④ランゲ青年が旅の手帳に記したこととは？（Page6‐7）
⑤ランゲ一族が受け継ぐ手帳。その中身とは？(Page8-11)

あらすじ
1815年2月18日に、ドレスデンにてアドルフ・ランゲは生まれる。
両親が離婚した後、ランゲ少年は知り合いの商家に引き取られて育ちます。育ての親のおかげで、ドレスデン技術学校に通わせたもらった彼はハイレベルな時計への知識を身に着けます。
１８３０年からは学生をしながらグートケスの弟子として実践トレーニングを積み、１８３５年、彼は当時時計大国であるフランスに旅をします。
旅に出る前に師匠グートケスにもらった手帳には、メッセージがかかれており「祖国を忘れることなかれ」から始まるメッセージがあります。現在も手帳は本社にて保管され、時計製作の際には必ず目を通しているようです。
では、『旅の手帳』に書かれていた事とは？今回は12-13ぺージの内容を記載していきます。

Page12-13：ここでは、9ページの表が続けて書かれおり、残りの説明文の翻訳が下記のように書かれています。

表3で、4番目の歯車の数と時計の振り子の長さの関係を見つけました。
一番上の行は小歯車と一番上の行の左側はがんぎ車の歯の数を示しています。
右側の単位表は振り子の長さを示しており、それに続くうちの一つは1秒間の振動数を表します。
8つの羽をもつ小歯車と15の歯を持つがんぎ車は1秒間に振り子が2回振れます。
私たちは、4番目の歯車が32の歯を持つとき、時計の振り子の長さは9.8インチずつになっていきます。

図
これは20インチから70フィートまでの1時間に与えられた振動数に対して、単純な振り子が持つ必要のある長さを示しています。
（ランゲは実際に、振り子の長さが80フィート、11インチ、そして1/100のリーニュで81まで計測をしていることが13ページのセクション３よりわかります。）

追記：これは2インチから７０フィートまで、１時間に与えられた振動数に対して単純な振り子が持つ長さを示しています。
（実際にランゲは１３ページ、グループ３にて、８０フィート、１１インチ、０リーニュ、１/１００リーニュ単位での８１リーニュまで振り子の長さの計測を示しています。）
Page13:フィート、インチ、リーニュ（フランス式の数え方：直訳すると列や行の事）を用いて、振り子の長さの計測を行う事の難しさは、現在の観点からも否定できません。

14ページの上段に書かれていることからわかるように、ランゲは確かに振り子の長さの計測を行う事の難しさを早い段階で認識していました。のちに彼はメートル法を採用しました。
メートル法を採用するにあたり、その前に彼は古いフランス式の計測方法を用いて数値を計測し、表を作成しました。
彼の表には下記のような計算が必要でした。

１foot(=3240839㎜)は12インチ（＝27.069㎜）、12リーニュ毎（＝2.2558㎜）
例えば
2.3588フィートの振り子の長さの時、1時間で4,100ビートと計算します。
そこから以下のように計算（変換）していきます。
2.3588フィート：0.3588フィート×12＝4.3056インチ
4.3056インチ　：0.3056インチ　×12＝3.6672リーニュ
3.6672リーニュ：0.6672リーニュ×100＝1/100リーニュの66.72（67）

13ページに戻り、2つ目のグループ、縦から8列目は、２フィート、４インチ、３リーニュ。そして67（66.72を四捨五入した数字）が載っています。(下記の資料に赤線が引いてある箇所をご覧ください）

それぞれの数値からメートル方法に換算するには下記のようになります。

直接同じ振り子の長さをミリメータに変換させた場合は以下のようになります。

正確な数値に近い数値が当時のアドルフ・ランゲが用いた数式より求められていることがわかります。

いかがでしたか？
ランゲが当時フィートやインチから、メートル法の変換をおこなっているのは過去のブログでも紹介していますが、実際に数式やランゲが書いた手帳の図から読み取ると大変面白いものですね。
当時ランゲが数値の表し方に対して、いかにこだわっていたのかが垣間見れる資料ではないのでしょうか。
次回は１４ページから１５ページの案内をしていきます。

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