皆様こんにちは、小田です。
いつもパネライ大阪心斎橋ブティックのブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回はパネライの修理をお持ち込みいただいた場合、どのような流れでお渡しまでご対応させていただいているかをご案内させていただきます。
大切な腕時計を安心して修理していただくために、当店での取り組みもご紹介いたします。
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1.ご相談・受付
まずはお客様から時計をお預かりする前に、しっかりとカウンセリングをさせていただいております。
主に質問させていただくのは、不具合の状況・外装状態の確認・使用年数などです。
その際に思い当たる故障原因や、ご使用状況なども必要に応じてお伺いさせていただいております。
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気になる修理にかかる費用ですが、この時点では確実な修理料金というのはご案内できません。
コンプリートサービス(オーバーホール)に出す場合、基本的にかかる料金はお伝えできますが、技術者が確認し必要な処置に応じて料金が変動するためです。
また、確実なお預かり期間というのもご案内はできかねますが、正規サービスセンター到着日から起算して、4週間から6週間ほどお時間を頂いております。お修理に必要な交換部品が国内に無い場合は部品到着までの日数が加算され、数ヵ月のお日にちを頂く場合がございます。
スイス本国での修理対応となるモデルにつきましては、お修理に3ヵ月以上のお日にちを頂く事になります。
※(スイス本国修理のモデルとは、新しく開発されたばかりのムーブメントを搭載した新作≪発売から約1年は国内修理不可となる事が多いです≫、グランドコンプリケーション等の特殊モデル、ケース交換などがございます。)
2.お見積りのご連絡
修理の内容にもよりますがお預けいただいてから国内の正規サービスセンターに発送し、お見積りをお出しさせていただきます。
お預かりしてからおおよそ2週間以内にご連絡をさせていただいております。
ここで正確な修理費用と作業内容・期間がわかりますので、スタッフからお客様のご連絡先にご案内をいたします。
また、この時点で修理内容にご納得いただけなかった場合には無料にてキャンセルをさせていただいております。
お電話等で修理内容をご案内させていただきますので、ご不明点等ございましたら何なりとご質問くださいませ。
受付の際にもだいたいの修理料金はご案内させていただきますが、以下に費用の一覧をまとめました。
ご参考までにご確認ください。
【コンプリートサービス(オーバーホール)のみ】
①メカニカル・・・82,000円(税込)
メカニカルに該当するモデルは、時・分のみ、時・分・秒の3針、時・分・秒+日付、時・分・秒+日付+パワーリザーブまでの時計が該当します。パネライのモデルの中でも一番多い、シンプルなメイン機能を基本1つのみ搭載したモデルになります。
②コンプリケーションⅠ・・・109,800円(税込)
こちらのグループに該当するモデルは、①の内容にGMT機能、もしくはクロノグラフ機能を搭載した、メイン機能2つを搭載したモデルになります。
③コンプリケーションⅡ・・・123,700円(税込)
こちらのグループは①の内容を含めてメイン機能3つを搭載した下記のモデルになります。
GMT+アラーム、GMT+イクエーションタイム、GMT+クロノグラフ、クロノグラフ+フライバック、クロノグラフ+スプリットタイム。
④グランドコンプリケーション、特殊モデル&修復・・・要見積(スイス本国修理)
こちらのグループは、トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダーなど機械式時計の中でも特に複雑な機構を搭載したモデルが対象となります。その他ヴィンテージウォッチの修復も、このグループに該当いたします。
その他、今は生産終了していますが、クォーツ クロックは38,900円(税込)、メカニカル クロックは82,000円(税込)になります。
※価格は2023年12月1日現在の料金です。
3.修理進行
お見積りにご納得いただいたあと、修理の進行をします。
パネライが行うコンプリート サービスの主な8つの手順の概要は以下のとおりです。
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診断:時計技師が、各パーツを徹底的にチェックし、モデルごとの仕様に従って計時機能、その他の各機能および防水機能を検査します。
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時計の分解&洗浄:ストラップまたはブレスレットを時計から取り外します。ケースを開けて、すべて分解します。ムーブメントを取り出し、分解します。ケースの金属製部品は、すべて特殊な超音波洗浄機に入れて油を除去し、洗浄します。最も繊細な部品は、明確に定義された手順に従って、手作業でひとつひとつ洗浄します。
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ケース&ブレスレットのポリッシング(オプション):この工程では、各部品のオリジナルの形を損なうことなく、金属の表面を巧みに研磨します。必要な場合は、ふさわしい見た目を復元するために、レーザーによるディープマーキングを行うこともあります。※受付の際、オプションとしてポリッシングの有無をお伺いいたします。
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時計ケースの組み立て:洗浄された部品を使って、再びケースを組み立てます。防水機能を確保し、外部の湿気や埃から保護するため、ケースバック、クリスタル、チューブ、リュウズなどの防水パッキンは新しいものに交換されます。
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ムーブメントの分解&洗浄:ムーブメントの部品はすべて、傷がつかないように特別に設計されたコンテナに入れられて、水洗いされます。次に、超音波洗浄機に入れられて、油が除去され、洗浄されます。ムーブメントの部品はそれぞれ、念入りにチェックされます。摩耗している部品は新しいものに交換されるか、該当する場合は、最新ムーブメントに使われている技術的にアップグレードされた部品に交換されます。
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ムーブメントの組み立て&注油:ムーブメントは、パネライの具体的な指示およびツールを使って、手順ごとに再び組み立てます。時計職人は、機械部品間の摩擦を少なくし、エネルギーの伝達を最適にするため、すべての注油ポイントに油を差します。
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品質管理:ストラップまたはブレスレットを取り付ける前に、すべての時計は防水機能検査を受けます。まず、空気圧を使って最も空気が漏れる箇所を見つけ、続いてモデルに対して許容される最大水深を作り出し、時計を直接その中に入れて検査します。最終チェックの間、最高品質であることを保証するため、製造時の仕様を使って、パワーリザーブ、計時精度、見た目の美しさが確認されます。
4.店頭での品質チェック
パネライ大阪心斎橋ブティックでは、正規サービスセンターより修理完了された時計を店頭で再度クオリティチェックをしております。
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『歩度』『片振り』『振り角』の三項目を見ます。
『歩度』は、同じ姿勢で時計を1日置いた場合の時間のズレを読み取ります。上記の写真の場合は日差±0秒となります。外的要因の無い同じ姿勢での精度になりますので、必ずしも使用している場合の精度とは数値に差が出ます。
『片振り』は、これはテンプの中心が本来の位置からずれて、テンプ中心にある渦を巻いているヒゲゼンマイの伸縮時の誤差(広がるのにかかる時間と縮むのにかかる時間)に差が大きく生じていないかをチェックします。この差が大きすぎると、精度がブレてしまい止まりの原因にもなります。だいたい0.0ms~0.2msが正常範囲と言われています。
『振り角』は、機械式時計の心臓部である【テンプ】の動く振り幅の事です。下の動画のようにテンプは左右に行ったり来たりを繰り返しますが、振り角とは片道どれぐらいの角度回転したかを計測します。
角度が大きければ外部からのショックに強くなり、精度が安定すると言われています。ただ、300°を大きく超えると、振り石が反対側のアンクルに当たってしまう反発力で、異常な進み方をする【振り当たり】を起こしてしまう可能性が高くなります。その為、最近のモデルは300°までに抑える事で、その症状が起きてしまう事を抑えています。280°あたりが、振り当たりの起こらないバランスの取れた角度だと言われています。
5.お渡し
当店での精度チェックを経てお客様へお渡しいたします。
お電話やメールにでご連絡をさせていただいておりますので、お引き取りをお願いしております。
お渡しの際に、「2.お見積り」時にお伝えした修理料金をいただいております。
また、通常コンプリートサービスをしていただくと修理保証期間が2年間付与されます。(※一部例外もあります。)
店頭でも精度チェックをしてはいますが、万が一もあり得るため修理から返ってきたものを一度実際に使って調子をみてみることをお勧めしております。
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オーバーホール推奨期間は4~5年
いかがでしょうか。
パネライ大阪心斎橋ブティックではオーバーホールの受付けの他に、お時計の洗浄、精度チェック、磁気帯びのチェック・脱磁をさせていただいております。
また、オーバーホールの推奨期間は4~5年となっておりますが、お客様の判断でお持ち込みいただいてもかまいません。気になられる点がございましたら、是非お気軽にご相談ください。
大切なパネライの時計を一度チェックしてみませんか?
皆様のご来店を心よりお待ちしております。
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