皆様こんにちは、小田です。
いつもパネライ大阪心斎橋ブティックのブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は私自身も数年疑問に思っていたテーマをお話しいたします。
ずばり!女性が手首の内側に向けて腕時計着けるのはなんで?という点です。
実は私も時計業界で働く前は、手首の内側に装着していました。
なぜそうしていたかというと、単に時計自体のケース径が小さいものばかり着けていたからと、母もそうしていたから…という理由でしかありませんでした。
女性の理想像から生まれた着け方
今でも年配の女性や小さなドレスウォッチを着けた方など内側に着用される方はよく見かけますよね。
しかしこのような習慣は外国ではあまり見られないそうです。何故でしょう…。
そもそもこの奇妙な習慣は女性の社会的地位の変遷も大きく関係してくるようです。
1900年代第二次世界大戦以前の日本社会では、女性の尊厳は男性よりも低い位置に置かれていました。
1911年、明治の最後には女性が男性と同等に扱いを受けることを主張した平塚らいてうが創刊した「青踏」に記した、「元始女性は太陽であった」という言葉はあまりにも有名です。
大戦が終わるまで、成人した女性は「良妻賢母」であることが望ましいとされ、社会進出ははしたないとまでされる風潮が続きました。
その頃の女性は、新聞を読む事や腕時計を着けることさえも「生意気」だという風潮だったとのこと。
今では考えられない思考ですよね…腕時計が堂々と着けられる時代に生まれて感謝します…!
戦後の1950年代になっても「男女平等」の精神はなかなか普及されず、『南京虫』と呼ばれた直径10mmほどの腕時計がやっと流行をしました。
しかしこれも目立たないようにとする当時の偏見や風潮からきたデザインであり、小さな文字盤では見えにくい場面もあったことでしょう。
この小さな腕時計をも内側に向けて着用して、さらに目立たなくしていたとのことです。その時代の風潮って不思議ですよね…。
和装の構造にも関係している
さらに戦後まで和装が日本人の中で普段着として主流でした。
女性の和服には「身八つ口」といって脇の部分に切れ目が入っています。これは胸のある女性にとって「マチ」の役割があり、着物にゆとりを持たせて腕を動かしやすくし、着崩れを防ぐためにあるものです。
この「身八つ口」のせいで女性は腕を上げると、脇から素肌の腕が見えてしまうので、女性たちは脇を締める所作が習慣として身についていました。
腕時計を外側に向けると文字盤を見るには少し脇を上げる所作をしなくてはいけませんが、内側なら手首を返すだけで見ることができます。
現代に近づくにつれて洋服が主流になり「身八つ口」を心配しなくてもよくなりましたが、脇を堂々と見せるのは「はしたない」とされており、腕時計を内側に着けるのは肘を張らなくてもいいので奥ゆかしくも見えるのです。
私自身は何となく脇を見せてしまうのは恥ずかしいな(脂肪的な意味で)…くらいのことでしたので、和服の際は腕時計は内側に着けるのもより美しい所作になって良いですよね!
ウーマンリブ運動で風潮を払拭!
1970年代になると日本でも「ウーマンリブ運動」が広まってきます。
「ウーマンリブ運動」とは、女性が男性と平等な権利を求め、男性と対等の地位や自分自身で職業や生き方を選べる自由を獲得しようとする社会運動のことです。
この動きがあって以降、レディース用腕時計にも大振りなデザインのモデルが登場し、男性同様に手首の外側に着用しても受け入れられる世の中になったのです。
ただし腕時計の向きに決められたルールやマナーはありません。
女性が外側に向けても、男性が内側に向けても問題はありませんし、例えば船乗りや兵士、狙撃手(スナイパー)など職業によっては内側を向けるほうが便利な場合もあります。
あえてゴツいダイバーズウォッチをはめて、手首の細さとのコントラストで「華奢な女性」を演出される方もいますし、そもそもカッコイイものが好きな女性がいてもいいのです。
腕時計を内側に着けるメリットとパネライのタフさ
今でも船乗りや兵士など特殊な環境にいる人が内側に時計を着けるのは、ぶつけて壊さない様にするためです。
また誰かに文字盤を見せたくない場合に、あえて内側に向ける人もいます。
例えば接客中や商談中、指導中など、時間を確認する動作を相手に見せたくない場合です。手首の内側なら外側よりもこっそりと覗けるでしょう。混み合う場所でも腕時計を内側に向けておくと誰かに肘をつく心配がありません。
パネライはご存知のとおり、イタリア海軍に向けて作られた特別な腕時計です。
船乗りや兵士という過酷な状況にも耐えうるよう考えられたタフさが魅力の一つですよね。
機械はもちろん、風防ガラスやケースの造形、文字盤の視認性などわざわざ内側に着ける必要がない程の大胆な大きさがカッコいい腕時計でもあります。
アイコンモデルの「ルミノールマリーナ」シリーズだと、防水性は300mとかなり本格的なダイバーズウォッチ仕様。
象徴的なデザインのリューズプロテクターは防水性を高めるために独自に開発したもので、特許を取得しています。
女性にも人気のパネライのデザイン
パネライは大きめのサイズ感も特徴の一つです。なので個人的には手首の外側に着用する事をお勧めいたします。
そんなパネライも近年、女性からの支持を得るドレッシーで可愛らしいモデルなど含めて多数展開しております。
例えば薄型でドレッシーさを追求した、「ルミノールドゥエ」シリーズは男女共に人気のシリーズです。
昨年から大人気の「ルミノール マリーナ クアランタ」は40mmと着けやすいサイズですが、スポーティーな雰囲気を残しつつパネライらしさを楽しめるモデルです。
まとめ
その他にも、綺麗めなデザインやストラップを替えて雰囲気を変えられるお洒落なものもございます。
今回、腕時計を手首の内側に着けるという習慣は女性のこうあるべきだという風潮からできた要素が非常に大きかったようでした。
現在では本当に様々なデザインのレディースウォッチが並んでいますし、どんな腕時計をどちら側に着けても自由な世の中になり、非常に嬉しいことですね。
ジェンダーレス論やLGBTQ、過剰なルッキズムが重要視、問題視されるなか、様々な問題がまだ山積みな日本です。
しかし腕時計やファッションをもっと好きな時に楽しめるようになったら良いなと感じます。
皆様も是非、パネライはもちろん、自身の気になる腕時計がございましたら心の底から楽しんでみてくださいね。