皆様、こんにちは。谷です。
もう9月ですね…。今年の夏も楽しみましたか?
私は秋・冬に向けてどんな服を買おうか各アパレルブランドのサイトとにらめっこしている状態です。
1つの季節が終わるごとに次のシーズンのお洋服が楽しみで、ついつい探してしまいます。
皆様は、どんなタイミングでお洋服などをご購入されることが多いですか?
さて、今回はムーブメントの魅力を伝えたいということで、A.ランゲ&ゾーネの現行モデルの中で最も古いムーブメントを持つ、サクソニアをご紹介します!
懐中時計をベースに作られたA.ランゲ&ゾーネのムーブメントたち
サクソニアのムーブメントを語る上で外せないのが、A.ランゲ&ゾーネのムーブメントです。
では、まずA.ランゲ&ゾーネのムーブメントの特徴からご紹介します。
A.ランゲ&ゾーネのムーブメントは、主にA.ランゲ&ゾーネの黄金期である1920年代の懐中時計まで遡ります。
1920年代のランゲのムーブメントは、現代のA.ランゲ&ゾーネのムーブメントを語る上では外せません。
なかでもゴールドシャトン、4分の3プレートなどは、A.ランゲ&ゾーネのムーブメントの最大の特徴でもあり、皆様の多くの方もご存じではないでしょうか?簡単にそれぞれ説明していきますね!
ムーブメントを彩る『ゴールドシャトン』
ゴールドシャトンは、ルビーなどの受石を固定している18金の輪のことです。
懐中時計の時代に受け石を固定するのにゴールドシャトンを使った理由は、受け石に天然のルビーを使っていた為、強度がまばらで、損傷することが多く、受け石を交換する必要がありました。
その際に、4分の3プレートやその他のパーツなどを外して交換する手間をはぶき、受け石のルビーのみを交換できるようにした先人達の知恵から始まりました。
現在は、人工ルビーが規格化され、強度が安定するのでゴールドシャトンの元来の機能はなくなりましたが、その美しさや伝統を伝えるためA.ランゲ&ゾーネでは採用しています。
A.ランゲ&ゾーネのムーブメントの代名詞『4分の3プレート』
4分の3プレートは1845年にフェルディナンド・アドルフ・ランゲがグラスヒュッテにランゲの工房を建てた時から挑戦しています。
最初の10年、1855年まではトライアングルのプレートとなっており、そこから4年(1856-1860)にかけてハーフプレート、そして1860年から1863年までは3分の2プレートでした。そうして、何度も改善、改良を行うことで現在用いられている4分の3プレートが1864年に開発されました。当時、F.A.ランゲが49歳の年でした。
では、今回の主役チラネジと時計の動力の元について説明していきますね!
サクソニアのチラネジ付きテンプはランゲで唯一のつくり?
サクソニアのチラネジ付きテンプをご紹介、まずは、チラネジ付きテンプについて説明しますね!
チラネジ付きテンプとは?
時計の製作精度が悪かった時代に『テンプのバランスを取り、精度調整を行う』ために用いられていたのがチラネジ付きテンプでした。
時計には貴金属が主に使われており、現代の様に時計技術や金属の特性への理解があまりなかった時代は『バイメタル切りテンプ』と呼ばれる方法で時計の精度やバランスを取っていました。
時計は、気温が高い時はヒゲゼンマイが柔らかくなり、テンワが膨張します。
一方、気温が低い時は、ヒゲゼンマイが硬くなり、点輪が収縮します。
気温の違いは、僅かな違いではありますが、時計の精度に狂いが生まれます。
その狂いを少なくするために生まれたのが、『バイメタル切りテンプ』です。
『バイメタル切りテンプ』は膨張率の異なる金属同士を張り合わせ、テンワの輪の一部を切り落とすことで、気温に合わせた膨張、収縮をおこない、精度を保ちます。
『バイメタル切りテンプ』のバランスを保つために『チラネジ』は必要なものでした。
『バイメタル切りテンプ』は製造・調整が難しく、高度な技術と多くのコストがかかります。
弾性変化や体積変化が小さい合金が開発された現代では見かけることが少なく、チラネジはバイメタル切りテンプの名残とも言えます。
そのため現代のチラネジの多くは、装飾用として用いられています。
新型1815やランゲ1についている『フリースプラング方式』
A.ランゲ&ゾーネのチラネジの多くは実用的な歩度調整として用いられます。
例えば、現行モデルの1815(2014年発表)のチラネジは『ミーンタイムスクリュー』と呼ばれ、通常のチラネジ(装飾用)と異なり、チラネジを可動させることができテンプのバランスをわずかに変化させることで、より細かな歩度調整が出来ます。
この方法は、『フリースプラング』と呼ばれ、ヒゲゼンマイの長さを調整する従来の『緩急針方式』に比べて高い精度が出やすい、そして高精度を維持することができます。
また、『フリースプラング』方式には、現行モデルランゲ1(2015年発表)に用いられている『ジャイロマックス』などがあり、『フリースプラング』と一口にいっても様々な調節方法があります。
現行モデルではサクソニアにしかない調節方法『スワンネック緩急針』
『スワンネック緩急針』は現行のA.ランゲ&ゾーネではサクソニアのみになっています。
『スワンネック緩急針』とは、緩急針調節装置の一種でテンプの速度を微調整するための装置です。
機能は『フリースプラング』と一緒ですね!
『スワンネック緩急針』以外にも『エタクロン緩急針』や『トリオビス緩急針』とこちらもさまざま種類があります。
『スワンネック緩急針』は、緩急針のなかでもとりわけ見栄えに優れています。
緩急針を片側からバネで押さえつけ、もう片側からネジで調節します。
こうすることによって、安定しやすく、多少の衝撃でもずれにくくなります。
名前の由来となった『スワンネック』は、針を押さえるばねの形状が白鳥の首に似ていることから名付けられました。
違いがあるからこそ面白い!ランゲのチラネジテンプ
サクソニアが持つ、チラネジテンプは『スワンネック緩急針』の調整方法となり、1994年に発表された4大復興コレクションを中心に用いられていました。
時代の流れと共に技術が発達したA.ランゲ&ゾーネでは、更に精度の高い『フリースプラング』を採用しています。
もちろん、精度が上がる事で時計の使用者としては嬉しいですよね!
そこに伝統的要素のあるチラネジやスワンネック緩急針を採用してるクラシカルなつくり込みも、それぞれのムーブメントの個性や魅力を更に引き出しているように見えます。
皆様のお気に入りのテンプはどれですか?
是非、教えてくださいね!!