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大人でもG-SHOCK! ケース素材が進化していて 集める楽しみが再燃中なんです|関口 優

G-SHOCKだからといって樹脂ケース一辺倒はもったいない!
チタンなど新しいメタル系Gに注目

大人でもG-SHOCK! ケース素材が進化していて 集める楽しみが再燃中なんです|関口 優 - FEATURING 関口 優 |IMG_1610

日本が誇る傑作時計のひとつにG-SHOCKがある。時計好きの皆さんならば、1本くらいは持っていると思われるが、御多分にもれず僕も複数本所有している。特に角型が大好きで、最近愛用しているメタルのB5000は質感が子供っぽくないので、36歳になる自分でも等身大で着けていられる良さがある。(だんだんとフォルムがノーチラスのように見えてくるから不思議だ)今回は自分にとって、収集欲を満たしてくれる存在であるG-SHOCKについて少し語りたいと思います。

さて、少し歴史を紐解くと、1983年に誕生したこの名作は僕自身同い年(厳密には同学年・笑)であることからとても親近感を持っているのだが、発売当初はまったく売れなかったそうだ。北米市場で、アイスホッケーのパック代わりに用いられてショットされるという衝撃映像が物議を醸し(誇大広告だと非難された)検証されるが、本物で実験しても壊れることなく、結果的にそのタフさが爆発的な話題を呼ぶようになった。
このストーリーだけでも胸が踊るものだが、日本では90年代のストリートカルチャーブームや、キムタク着用効果などによりファッションとの親和性が高まっていく。時計の機能というより、バックライトに浮かび上がるイルカやクジラなどのキャラクター、タフさを強調するゴツゴツした見た目などによって、着ける嬉しさや触る楽しみを演出してきたからこそ、僕も含めてみんなが熱狂していたのだと思う。カラバリがとにかく多ので、人と被りにくいものを選んで個性を出す、なんて発想が腕時計において生まれたのもG-SHOCKの功績かもしれない。

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神戸市消防局とコラボしたお馴染みの人気モデル。オレンジの発色とベルト裏面の蛍光イエローが可愛らしくて、週末に重宝します

発売から36年目に突入した今日でも、より成熟したアプローチで進化をやめていない。当初は樹脂を用いたことでタフさを担保していたG-SHOCKだが、いまではステンレスやチタンの採用が可能になっている。25本という超限られた限定だが、金無垢ケースの角型モデルなんてのもある。これらは、カシオの技術開発の賜物で、誕生当初は樹脂でしかなしえなかった耐衝撃構造が金属でも(しかも強度的に弱いゴールド素材でも)実現できるようになったのだ。カシオのレジェンド開発者である伊部菊雄さんにお話を伺ったが、長年の夢である金を用いたG-SHOCKの開発はとても大変なものであったと同時に、カシオという会社の懐の深さを実感した瞬間だったという。(2015年に1台しかないコンセプトモデルを直接ご本人に見せていただいた瞬間、僕もG-SHOCKの未来を見た気がしました)
時計に用いられている素材のなかで、最も強度が弱い金で壊れない時計であるG-SHOCKを作る。こんな矛盾する時計を現実のものとし、その後にスチールやチタンケースのモデルが生まれたのだ。
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僕はいま、メタル素材を手にしたGがどんな表現で時計を出してくるのかが楽しみで仕方ない。一口にG-SHOCKといっても、顔も形も色も変えて、あらゆるデザインのものが世に出てきた。これがメタル素材で表現されたら、どの時計メーカーも作っていない時計が生まれてくること請け合いなのだ。リセールバリューなど気にせず、自分のツボにはまった好きなものをドーンと買って楽しむ、というのが本来のG-SHOCKの楽しみ方だろう。
個人的には全身ブラックのチタンモデルと、ゴールド色×樹脂バンドのモデル(kolorコラボではなく)をどうしても手にしたい。

一息ついて、家にあるG-SHOCKを数えてみると、いまのところ6本だった。まだまだ増加が止まる気配もないが、大人の収集癖をも刺激するこの時計を、改めて楽しんでみてほしい。

ホディンキー 日本版編集長関口 優
1984年生まれ。芸能雑誌やモノ情報誌「GetNavi」の編集を経て、2016年より時計専門誌「WATCHNAVI」編集長に就任。2019年には腕時計愛好家を魅了するライフスタイル・メディア「HODINKEE」日本版初代編集長に就任。まず自分が試すことをモットーとしており、腕時計を買い続ける日々を送る。